2026年9月2日放送の『水曜日のダウンタウン』(TBS系)で、企画「国道ラーメンマラソン」が行われた。環状八号線を羽田から荻窪まで走り、ラーメン店の前を通ると1杯を完食するというルールの大食いレースとして紹介された企画で、番組では出演者が嘔吐する場面も放送されたという。
放送後はSNS上で番組内容への賛否が出ているとされるなか、フードジャーナリストの山路力也氏が、ラーメン評論家としての立場から見解を示した。山路氏の問題提起は、出演者個人への批判というより、ラーメンやラーメン店が企画の中でどのように扱われたのか、という点に向けられている。
「不快感」の焦点は出演者ではなく制作側
山路氏は今回の放送について、ラーメン評論家として正直「不快感」を覚えたと述べている。一方で、企画に出演したタレントについては、番組の企画意図に沿って役割を果たしただけであり、「出演者個人には罪はない」との考えを示した。
つまり、山路氏が問題視しているのは、出演者がラーメンを食べたことそのものではない。出演者が炎天下でマラソンをし、満腹状態でさらにラーメンを食べる姿を笑いの対象にする構成に、違和感があると指摘している。
今回の企画では、ラーメンを食べる行為が楽しみや食文化として描かれるのではなく、出演者が苦しむ状況を生み出す「罰ゲーム」のようになっていたと、山路氏は表現している。
ラーメンを「道具」として扱うことへの疑問
山路氏の見解で特に重いのは、ラーメン店への視点だ。店側が努力して作ったラーメンを、出演者を追い込むための道具のように扱うことは、ラーメンやラーメン店に対して失礼ではないかと問題提起している。
この指摘は、番組の演出が面白いかどうかだけではなく、食べ物を扱う企画にどのような配慮が必要なのかという論点につながる。マラソンと完食を組み合わせることで競技性や過酷さを演出できる一方、料理を提供する店や、その一杯を作る行為が、企画上のギミックとしてのみ消費されてしまう可能性もある。
山路氏は、嘔吐シーンを放送したこと自体の是非については、今回の記事の論点にしないとしている。焦点を置いているのは、ラーメンを「食べるもの」ではなく、出演者が苦しむ状況を作るための手段として扱ったように見える点だ。
中嶋享氏のラーメンへの向き合い方にも言及
記事本文では、出演者として中嶋享氏の名前が挙げられている。山路氏は、中嶋氏についてラーメン通としても知られていると述べ、自身のX上で実際に食べたラーメンへの愛情を感じさせる投稿をしていたと紹介している。
ただし、取得できた記事情報では、中嶋氏のX投稿の具体的な本文や投稿日時、投稿数までは確認できない。そのため、投稿内容を詳しく引用したり、番組中の言動と結び付けて評価したりすることはできない。
ここでも山路氏の主張は、出演者のラーメンへの姿勢を責めるものではない。むしろ、ラーメンに思い入れを持つ出演者が参加していたとしても、企画全体の構成によっては、料理や店の価値が別の形で扱われてしまうという問題意識が示されている。
今回の論点は「過酷さ」から食文化の扱いへ
「国道ラーメンマラソン」をめぐっては、マラソンとラーメンの完食を組み合わせた過酷さや、出演者が嘔吐する場面の放送が注目された。一方、山路氏の記事が提示したのは、そうした場面の刺激の強さだけではない。
料理を提供する店、作り手、そして食べ物そのものを、番組の笑いや競技のためにどう位置付けるのか。山路氏は、出演者ではなく制作側に対し、その点でラーメンへのリスペクトが欠けていたのではないかと問いかけている。
現時点で、番組制作側やTBS、出演者、ラーメン店関係者による公式コメントや反論は確認されていない。また、登場した店舗名や店舗数、提供されたラーメンの種類、完食数なども、今回確認できた情報からは明らかになっていない。
そのため、企画の制作意図や現場の事情まで断定することはできない。確認できるのは、番組で過酷なルールの企画が放送され、山路氏がそのラーメンの扱いに強い違和感を示したということだ。今後、番組側や関係者から説明があるかどうかが、議論の行方を見極めるポイントになりそうだ。
記事の公開情報
- 番組放送日:2026年9月2日
- 記事公開日時:2026年9月5日午前6時1分
- 企画区間:羽田から荻窪まで
- 企画のルール:ラーメン店の前を通った際にラーメン1杯を完食
